アデノイドと口育の深い関係|お口ぽかんがもたらす子どもの発達への影響とは?

舌・あご・口腔機能の発達

はじめに

「うちの子、いつもお口がポカンとしているけど大丈夫かな?」
そんな相談を、歯科医院でよく耳にします。

お口の開きっぱなしは「口呼吸」のサインであり、放っておくと“アデノイド肥大(咽頭扁桃の腫れ)”と関係していることがあります。
さらに、口呼吸が長く続くと「歯並び」や「姿勢」「集中力」にまで影響を与えてしまうことも…。

この記事では、口育(こういく)の観点から見たアデノイドの特徴や影響、家庭でできるケア方法について、歯科衛生士としての現場の視点と、3人の子どもを育てる母の実体験を交えてお伝えします。

アデノイドって何?どんな役割があるの?

アデノイドとは、鼻の奥の突き当たり(のどの上の方)にある**リンパ組織(咽頭扁桃)**のことです。
子どもにとっては“ウイルスや細菌の侵入を防ぐフィルター”のような役割を担っています。

成長とともに自然に縮小していくのが一般的ですが、
3~8歳ごろの子どもでは、このアデノイドが過剰に大きく(肥大)なることがあります。

我が家の長男も小学校低学年のころにいびきがひどく、風邪をひくといつも悪化がひどくなってしまう時期がありました。小児科でアデノイドで扁桃腺が大きく腫れています。風邪がよくなったら耳鼻科に行ってください。と言われました。

耳鼻科では、口呼吸が続くと風邪をひきやすかったり、頭がボッーとして勉強も集中できないです。このまま大きいままだと進行するので、少し経過を診て大きくなった部分を切除するのも選択にいれてもいいかもしれません。と言われ、夫と私で小さい子どもに手術させるのはかわいそうと思い、口呼吸をしないように歯科医院に相談しました。

歯科医師には唇の筋力が弱いと口呼吸になりやすい、また舌の位置も挙上していないとお口がぽかんとして口呼吸になります。とのことで、まさかアデノイド肥大が歯医者さんで解決してもらえるなんて思っていませんでした。口のトレーニングをいくつか紹介してもらい、3か月ほど続けました。耳鼻科でアデノイドを診てもらったところ、大きくなってないので手術しなくてもいいですが、これからも検診して大きさはチェックしていきます。と言われ、鼻呼吸の大切さを実感し、他の兄弟にも鼻呼吸は徹底しています。

口育とアデノイドの関係

口育(こういく)とは、口の機能を育てる教育のこと。
「噛む」「飲み込む」「話す」「呼吸する」など、日常に欠かせないお口の働きを、発達段階に合わせて正しく導いていく考え方です。

アデノイド肥大は、口育の発達に大きなブレーキをかける存在でもあります。

次男はお口ぽかんとしていることが気になることがありました。耳鼻科に受診して相談したところ、鼻は今詰まってないのだけど、鼻づまりがあった時のクセで口呼吸が残ってしまい、無意識に口で呼吸して口がぽかんと開いている状態が続いているのかもしれないと指摘されました。鼻は詰まっていないのでトレーニングすれば、鼻呼吸に戻るよと言われ、家族で鼻呼吸のトレーニングをしました。

同じころ歯科でもお口ぽかんとしていると、舌の正しい位置につかずに低い位置でだらんとして、舌の筋力が弱くなるので、だらんと下がるので、発音が聞き取れなかったり、歯並びが乱れるきっかけになるよとも指摘されました。

呼吸が鼻か口かでそんなトラブルが増えるのだと少し怖くなりました。

3歳児健診でも保健師さんに鼻づまりをそのままにしていると、口で呼吸しなくてはならないので、風邪がひきやすくなったり、頭がボーっとするので集中力がなくなったり、アデノイド顔貌になりやすくなりますよと指導を受けました。そこでアデノイド顔貌を詳しく教えてもらいました。特徴としては、口が常に開いていて、鼻の下が長く見えたり、あごが細く後退してくるという顔に成長してくるとのことでした。

アデノイドと姿勢・集中力の関係

アデノイドによる口呼吸は、姿勢や集中力にも影響します。

鼻呼吸ができないと、酸素の取り込みが浅くなり、
身体が酸素不足を感じて「猫背」になってしまうのです。

また、十分な酸素が脳に届かないため、
「集中できない」「すぐに疲れる」「イライラしやすい」といった行動面の変化も見られることがあります。

これは実際、歯科現場でも感じることが多いです。
検診でお子さんの姿勢や口の開き方を見ただけで、「アデノイドが大きいかもしれない」と気づくケースもあります。

家庭で気づけるサイン

次のようなサインがある場合は、アデノイド肥大や口呼吸が疑われます。
• 寝ているときにいびきをかく
• 口を開けて寝る
• 鼻づまりが慢性的
• ごはんのとき口を閉じて噛めない
• 発音が鼻に抜けるような感じがする(特に「な行」「ま行」)
• 集中力が続かない・姿勢が悪い

これらのサインが複数ある場合は、早めに耳鼻咽喉科や小児歯科で相談することをおすすめします。

歯科衛生士として伝えたいこと

歯科衛生士の観点からは、口腔内だけではなく、鼻やのど、姿勢、舌の動きまで総合的にチェックします。

アデノイド肥大が原因の口呼吸はお子さんの発育全般や健康に大きく影響しますので、単なるクセとは異なり、注意が必要です。

もしアデノイドが原因で鼻呼吸が難しい場合、
「鼻呼吸トレーニング」や「舌の筋トレ(MFT=口腔筋機能療法)」を並行して行うことで改善が見込めます。

家でできる簡単!口育トレーニング

我が家ではお風呂上りに「鼻呼吸トレーニング」を取り入れていました。例えば鏡を見て口を閉じて5秒鼻呼吸チェック「鼻詰まりの有無を確認」お風呂上りの水分をストローで飲み物を吸うことで口唇と舌の筋力を強化します。

「あいうべ体操」で舌と表情筋を鍛え、口の開閉を意識づけ、「んーー」と舌を上あごに押し当てる練習で正しい舌位置を習得します。遊び感覚で継続できるのでおススメです。

3児の母として感じたこと家でできる簡単!

我が家の長男は幼稚園時代、寝ているときのいびきと口呼吸が気になっていました。耳鼻科でアデノイド肥大の診断を受け、家庭での鼻呼吸トレーニングと姿勢改善に取り組みました。数か月で自然に口が閉じられるようになり、いびきも減少。体の成長に大きな違いを感じています。早く受診してよかったなぁと嬉しく思います。

この経験から、「お口のクセ」は放置せず、早めに気づいてあげることが大切だと実感しました。

まとめ:口育は、子どもの未来を守る育み

アデノイドは、子どもの成長過程で誰にでも見られる生理的な変化ですが、
その影響が「呼吸」「歯並び」「姿勢」「表情」にまで及ぶことを知っておくことが大切です。

「お口ぽかんは」単なる仕草ではなく、成長のSOSサインである可能性があります。

早期発見と家庭でのトレーニング、医療機関との連携で、お子さんの健やかな成長を支えていきましょう。

さいごに

歯科衛生士として、そして母として思うのは、
「お口の環境を整えること」は、心と体の健康を守る第一歩だということ。

お子さんのお口の状態を“ただのクセ”と片づけず、
「どうしてそうなっているのか?」という視点を持つことで、
未来の笑顔がきっと変わります

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