はじめに
お子さんの口がいつもポカンと開いたままで、「これって大丈夫なのかな?」と心配される親御さんはとても多いです。
私も毎日の診療の中で、「寝ているときも口が開いているんです」「家でテレビを見てる時などに口で呼吸している気がして…」といったご相談をよく受けます。
お口の開きっぱなしは「口呼吸」のサインであり、お口周りの筋力の弱さや鼻の奥にあるアデノイド(咽頭扁桃)の肥大が隠れているケースが多いです。
アデノイドという聞きなじみのない体の一部がお口ぽかんに影響します。
お口ぽかんが歯並びの乱れや猫背、勉強中の集中力低下につながることもあります。
我が家の3兄妹も口呼吸で気になる時期がありました。耳鼻科に受診したことも何度もあります。
そのたびに、口で呼吸することが体全体に影響していることが少しずつ分かりました。
その頃は「鼻でも口でも呼吸できればいいのでは?」「口を閉じれば鼻で呼吸できる」と思っていました。
多くの親御さんもそう感じている方も多いかもしれません。
ここでは、※口育士(こういくし)の視点からあまり聞きなれないアデノイドの役割や影響を解説しつつ、30年以上の歯科衛生士経験と三児の母としての家庭でできるケアや毎日の生活で取り入れやすい習慣ケアを紹介します。
お子さんのお口がポカンと開いてるのが気になる親御さん必見の情報です。

※「口育(こういく)」とは、日本口育協会が提唱する、0歳からの乳幼児期からお口周りの筋肉や機能を正しく発達させ、呼吸・嚥下・咀嚼・発音といった口腔機能を健全に育てる健康管理術です。哺乳、離乳食、指しゃぶりなどの口腔周囲筋のケアを通じて、正しい歯並びや健康な全身発育を生涯にわたって維持することを目指します。
アデノイドの正体と役割
どこにある、どんな組織?
アデノイドの正式な名称は「咽頭扁桃(いんとうへんとう)」といいます。
場所は鼻の突き当たり、のどの上のほうに位置するやわらかいリンパ組織です。
何かトラブルがあった時は耳鼻科で詳しく診てもらえる領域です。
「体への侵入者」を防ぐバリア機能
子どもにとってのアデノイドは、いわば「バイ菌やウイルスに対する防御壁」です。
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呼吸と一緒に吸い込んだ細菌などをキャッチする
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体が病気になるのを防ぐ「フィルター」として機能する
アデノイドは、免疫システムがまだ未熟な幼少期にとって、健康を守るための重要な役割を担っています。
我が家の子ども達ものどが痛いと言い出したと思ったら、次の日には熱が出たなんてことも多かったです。
これは、免疫機能が未熟な子どもならではの、風邪の発症なんだと今なら分かります。
子どもが小さいころは、鼻水が出始めたけど熱もないし、週末に小児科行くまで大丈夫かなと、思っていても次の日には発熱してしまいました。
このような経験はどのご家庭でもあるはずです。早めに受診して根本原因を治してもらうとその先の症状悪化まで進みづらくなります。
免疫機能の未熟な子どもは、ウイルスなどと戦える免疫力はまだ持ち合わせていないのだと振り返ると反省しました。
成長に伴う変化と「肥大」
アデノイドは、一生同じ大きさではありません。
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3歳〜8歳頃: ウイルスに反応して最も活発に働くため、一時的に大きくなる(アデノイド肥大)ことがよくあります。
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思春期以降: 体の成長とともに自然と縮んでいくのが一般的です。
小学校高学年にもなると、3児とも多少鼻水が出てたり、のどに痛みが出ても、安静にしていると、熱を出すことは少なくなってきたのは免疫機能が発達してきた証なのだと、納得です。
注意したいポイント
もしアデノイドが大きくなりすぎた状態(肥大)が続くと、鼻の奥の空気の通り道を塞いでしまいます。
その結果、「いつも口をぽかんと開けて呼吸している」「いびきがひどい」といった症状につながることがあります。
こうしたアデノイドの影響で、お子さんの睡眠の質や集中力に変化が出ることもあります。
長男はアデノイドが肥大している時期がありました。その頃は、よくお昼寝をしていました。今思うと、夜しっかり眠れていなかったのかもしれません。
我が家の3兄妹の体験から感じたこと
長男の体験
小学校低学年のころ、長男の寝ているときのいびきや、花粉症シーズンの鼻づまりが気になる時期がありました。
小児科に受診したところ、「アデノイドと扁桃腺が少し盛り上がっていますね。耳鼻科で詳しく診てもらってください」と言われ、すぐに耳鼻科を予約しました。
耳鼻科を受診したところ「経過によっては手術も検討することがあります」と説明を受け、小さな子に手術を受けさせることへの不安と、経過をみる間何かできることはないかと先生に伺いました。
お口まわりの筋力も関係しているから、小児歯科を受診してみてと言われました。
歯科では「筋力が弱いと口が開きやすくなる」「舌が上あごについていないと、口が開きやすくなる」と指摘されて、口周りのトレーニングや運動、姿勢について指導を受け、家でトレーニングを続けました。
次の耳鼻科の経過確認では「アデノイドの肥大も進んでいないので、しばらく経過観察で大丈夫です」と言われ、ほっとしました。
アデノイドと姿勢・集中力の関係
アデノイドが肥大して鼻呼吸が難しい場合、自然と口呼吸が続きやすくなります。
口呼吸が長く続くと、酸素の取り込みが浅くなり、体が前傾して「猫背」のような姿勢になることがあります。
歯科の定期健診でも「口呼吸傾向のある子供は、姿勢が前のめり」「座っているとあごが前に出やすい」といった共通点がよく見られます。
呼吸のしかた一つで、全身のバランスに影響が出ることを日々の臨床の中で実感しています。
次男の体験
次男も小さいころ、「お口ぽかん」としていることが気になってました。
耳鼻科で相談すると、「鼻は今つまっていませんが、以前の鼻づまりの習慣で無意識に口呼吸が残っているのかもしれません」とのことでした。
「鼻は通っているので、練習すれば鼻呼吸に戻せますよ」と言われ、家族で楽しく鼻呼吸のトレーニングをしてみました。
同じころ、歯科でも「舌の筋力が弱く、上手に発音できなかったり、歯ならびに影響が出ることもあります」 と言われました。
呼吸のしかた一つで、発音や歯並びに関係があることを知り、とても驚きました。
3歳児健診でも保健師さんに鼻づまりをそのままにしていると、口で呼吸しなくてはならないので、風邪をひきやすくなったり、頭がボーっとするので集中力がなくなったり、アデノイド顔貌になりやすくなりますよと指導を受けました。
そこでアデノイド顔貌を詳しく教えてもらいました。特徴としては、口が常に開いていて、鼻の下が長く見えたり、あごが細く後退してくる顔に成長していくとのことでした。


こちらの記事も参考に:お口ぽかんのサイン
家庭で気づけるサイン
• 寝ているときにいびきをかく
• 口を開けて寝る
• 鼻づまりが慢性的
• ごはんのとき口を閉じて噛めない
• 発音が鼻に抜けるような感じがする(特に「な行」「ま行」)
• 集中力が続かない・姿勢が悪い
これらのサインが複数ある場合は、早めに耳鼻咽喉科や小児歯科で相談することをおすすめします。
歯科衛生士として伝えたいこと
歯科衛生士の観点からは、口腔内だけではなく、鼻やのど、姿勢、舌の動きまで総合的にチェックします。
アデノイド肥大が原因の口呼吸はお子さんの発育全般や健康に大きく影響しますので、単なるクセとは異なり、注意が必要です。
もしアデノイドが原因で鼻呼吸が難しい場合、「鼻呼吸トレーニング」や「舌の筋トレ」を並行して行うことで改善が期待できることもありますので、専門機関にご相談ください。
家でできる簡単!口育トレーニング
我が家で実践して効果を感じた方法を紹介します。どれも簡単で、遊びながら続けられるものです。取り入れやすいものを親子でぜひやってみてください。
お風呂で「鼻呼吸チェック」
お風呂上がりは、蒸気で鼻が通りやすくなる絶好のチャンスタイムです。
鏡の前で口を閉じて5秒キープしながら鼻で呼吸ができるか確認します。できるようになったら少しづつ長く静かに鼻で呼吸できるようにトレーニングします。
「あいうべ体操」で楽しく筋トレ
よく知られる「あいうべ体操」は、口輪筋や舌の筋肉を優しく鍛えられるおすすめの方法です。発声しながら行うことで表情筋も刺激されるため、子どももゲーム感覚でできめます。大人も子供も口周りの筋力は大切です。
「あいうべ体操」は、福岡のみらいクリニック院長・今井一彰先生が考案した、口の周りの筋肉と舌を鍛えて口呼吸を鼻呼吸に改善する健康法です。1日30回(1セット1秒ずつ、朝昼夜食後に各10回目安)、「あー・いー・うー・べー」と口と舌を大きく動かすだけで、免疫力向上や口臭・ドライマウス改善、小顔効果も期待できます。 動作は「あー・いー・うー・べー」の順に、大きく動かすのがポイントです。
舌の正しい位置を正しく
舌の先を上の前に歯のすぐ後ろ(スポットと呼ばれる位置)に軽く練習します。舌が挙がることで口が自然に閉じやすくなり、鼻呼吸の習慣づけに役立ちます。
舌の筋力が必要なので、舌の筋力アップのトレーニングをしてみましょう。
3児の母として感じたこと
我が家の長男は幼稚園時代、寝ているときのいびきと口呼吸が気になっていました。
耳鼻科でアデノイド肥大の診断を受け、家庭での鼻呼吸トレーニングと姿勢改善に取り組みました。数か月で自然に口が閉じられるようになり、いびきも減少。
体の成長に大きな違いを感じています。早く受診してよかったなぁと嬉しく思います。
この経験から、「お口のクセ」は放置せず、早めに気づいてあげることが大切だと実感しました。
まとめ:口育は、子どもの未来を守る育み
アデノイドの変化は子どもの自然な成長過程の変化です。
口呼吸の状態が続くと、呼吸法、歯並び、姿勢、顔立ちまで連鎖影響が出ます。
お口ポカンは見落とさずに、初期の気づきが鍵です。
わが家のように家庭トレーニングを続け、耳鼻科や歯科と連携すれば、子どもの健やかな成長をしっかり支えられます。
口育で未来の笑顔を育みましょう。
さいごに
歯科衛生士として、そして3児の母として感じるのは、お口周りを優しく整えてあげることが、心と体を元気に保つ大切な一歩だということです。
お子さんのお口ポカンを「いつもの癖かな」とそのままにせず、「どうして口が開いてるのかな?」と一緒に考えてみませんか。
きっと、子どもの明るい笑顔がもっと増えますよ。
今日からできるお家での小さな気づきが、子どもの幸せな成長につながりますように。

本記事は、歯科衛生士としての経験に基づく情報提供を目的としています。個別の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ずかかりつけの歯科医院を受診してください


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