仕上げ磨きが嫌いな子どもとは?
私自身3児の母として仕上げ磨きにそれぞれの子どもに苦戦した経験があります。
特に長男は歯ブラシを見るだけで「いや!」と全力で拒否する時期が長く続きました。
子どもにとって口の中はとても敏感な場所であり、急に触られるのが不安なのだと、色々な患者さんや通院してくるお子さんをみるなかで気づきました。
そんな中、赤ちゃん歯科や発達の勉強や子育ての経験を通して少しずつ【楽しい歯みがきタイム】を作る工夫を重ねてきました。
この記事では歯科衛生士・口育士・3児の母としての経験や相談例・体験談をもとに子どもが笑顔で仕上げ磨きに取り組めるヒントをたっぷりご紹介します。
普段からお父さんお母さんが自分の歯を磨く場面を見せてあげてください。
赤ちゃんが起きる前、見つからないように洗面所でササっと歯ブラシをしていると、歯ブラシがなんの道具かわからないうちに歯みがき習慣がスタートしてしまいます。
お父さんお母さんも歯ブラシをするときは、笑顔ですっきりして気持ちよかったと終わりにしてくださいね。むしろ大げさに。笑
子どもが嫌がる理由:親たちの相談例
親が力を入れすぎた相談
私の歯科医院に相談にいらしたあるお母さんのお話です。
仕上げ磨きに夢中になるあまり、つい力を入れすぎてしまい、子どもが『ママ、痛い!』と痛がって嫌がるようになったそうです。子どもが痛みを感じると歯磨きそのものが嫌いになります。
お母さんの気持ちはとてもよくわかります。虫歯にさせたくない・すばやく歯みがきを終わりにしてあげたいという気持ちが先行して、もしかして真剣な顔・少し怖い顔になってしまっていませんかと指導しました。
【優しい声かけ】と【笑顔】を意識して歯ブラシをしてみたそうです。すると比較的スムーズに歯みがきができるようになったと話してくれました。
赤ちゃんの歯は小さく、歯ブラシのヘッドも小さいので、力を入れすぎるとオーバーブラッシングとなり、歯ぐきにあたってしまいます。これが赤ちゃんには痛い、強い、嫌だという感情になってしまいます。時には出血して血の味がするなんて赤ちゃんにはびっくりな経験です。
歯ブラシは小さく動かして、優しい力加減でブラッシングしましょう。
来院するお母さんにやってもらうと、優しく小さく動かすのって意外と難しいのです。とおっしゃるお母さんが多いです。
歯ブラシを動かすと、長年の経験上どうしても力が入ってしまうようです。
口の中の違和感
「息子は仕上げ磨きの時に“くすぐったい”と言って暴れます。」このように、子どもによって感じる不快感は異なります。
乳歯が次から次へと生えてくる時期と重なると、口の中の違和感はブラッシングの違和感より生えてくる歯ぐきの違和感を考えながら磨いてあげるのもスムーズなブラッシングのヒントです。
歯ブラシを持たないで、指で歯ぐきをマッサージするだけでも、口の中の感覚を育てることができます。
歯磨きの時間が長いと飽きてしまう
「娘は仕上げ磨きが嫌いで、毎回泣いていましたが、衛生士さんの言う通り時間を短縮したらスムーズになりました。」と相談に笑顔で来てくれたお母さんもいました。
短時間で効率よく磨くことも大切です。
あごも小さい赤ちゃんは、長い時間大きく口をあいているのも疲れてしまいます。
最初は大きく開けなくては見えない奥歯から、後半は小さい口でも磨ける前歯に移行するなど、ブラッシング時間と歯みがきテクニックを考慮して磨いてみると時間短縮のヒントになります。
嫌がる子どもへの声かけのコツ
子どもの気持ちを尊重する
「お口の中が嫌な感じする?」と子どもに話しかけることで、嫌がる理由を聞き出すことができます。「あーばい菌がついてるからだー。ばい菌やっつけよう!!」と子どもの気持ちに寄り添うことも成長につながります。「優しく磨くからやらせてねー」という気持ちを忘れないでください。
ポジティブな声かけ
「ピカピカの歯になると、とってもかっこいいね!」や「これでばいきんが逃げていくね!」などのポジティブな言葉を使うことで、歯磨きへの意欲を高めます。
子どもの好きなキャラクターを活用
「アンパンマンが歯磨き頑張ってるよ!」など子どもの興味を引くキャラクターの歯ブラシを登場させることで、抵抗感を減らすことができます。
実践アイデア集
アイデア1:短い歯磨きタイムを設定
「歯みがき10秒チャレンジ!」と短い時間をゲーム感覚で歯磨きを提案することで、子どもの負担を軽減します。
終わりが分かりやすいというのも、子供にとっては安心材料になります。タイマーがピピッと鳴るのも子どもには楽しいみたいで『タイマーセットするー』と進んで取り組んでくれるようになったというお母さんもいました。
最初は一部分だけでも、歯が多く生えてきたら、タイマーを長くするのをお子さんに伝えてみてください。
どうしても磨かせてくれないときは、上の歯だけはしっかり磨く、明日は下の歯をしっかり磨くなど、ブロックで分けても虫歯のリスクは減らせます。
アイデア2:鏡を使って自分でチェック
鏡の前で子ども自身の歯を見せながら、「どこをピカピカにする?」と問いかけると子どもが楽しく参加できます。
ここにまだばい菌いそうだね、つるつるしてきたね、わ、ホウレンソウがでてきたよ、なんて実況しながらみがいてあげると口の中がイメージしやすいですね。
アイデア3:歯磨きソングで楽しさアップ
歯磨きの間に歌を歌うことで、歯磨きを遊びのように感じさせます。親子で歌うことで楽しい時間になります。患者さんのお父さんにおススメの歌を聞きました。今はYouTubeも歯みがきの歌が色々あります。お子さんと探してみるのもいいですね!
アイデア4:ご褒美シールを導入
歯磨きを終えたらカレンダーにシールを貼るなど、小さな達成感を与えることでモチベーションが上がります。
親子の成功体験:歯磨きの時間が楽しみに変わった瞬間
ある患者さんは「歯磨きパペット」を手作りしました。親が人形を使って話しかけることで、子どもはご機嫌で口を開けてをくれて、仕上げ磨きがスムーズに進むようになったと嬉しそうに話してくれました。
また、歯磨きが終わった後に「大きくあーんしてくれたから磨きやすかったよ!ありがとう!」
と感謝の気持ちを伝えることで、子ども自身も頑張ったことを誇りに思うようになります。
いくつでもママにありがとうと言われることはうれしいものですね。さっきまで泣いていたのに得意げになる顔も見ものです!
まとめ:親の工夫次第で歯磨きは楽しい時間に変わる
仕上げ磨きを嫌がる子どもに対して、親が適切な声かけやアイデアを実践することで、歯磨きの時間を楽しいものに変えることができます。大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、楽しさ・すっきり感・満足感を実感させる工夫をすることです。
機嫌や体調などでどうしても、ギャン泣きなことはあります。それもいつかは必ず終わります。私の医院に来院するお子さんもどのお子さんも落ち着いてきています。お母さんと懐かしい話で盛り上がったりします。いつかは笑顔で磨ける日がくると信じて頑張ってくださいね。
お母さんも一日の最後で疲れているとは思いますが、どうか笑顔で歯みがきをお願いします。子どもはママの笑顔が大好きです。
ぜひお父さんも同じ気持ちで歯みがきタイムに臨んでもらいたいです。
長く歯科に携わってきて、ここ10年くらいはずいぶんお父さんも仕上げ磨きをやってくれているご家庭が増えました。それでもまだ、お父さんも仕上げ磨きやってくれてるんですか?とお聞きすると、ママがやってくれてるからわからないとおっしゃるお父さんもいます。
最初から関わっていかないと、ママじゃなきゃ嫌だ!となってきてしまいます。
私自身も最初は『毎晩バトル…』と落ち込む日もありましたが、夫も協力してくれて家族で楽しみながら工夫して歯みがきをおこなうことができました。
歯みがきタイムは親子のコミュニケーションの宝物。
どんなに大変な日も、子どもの笑顔を信じて、ぜひ色々なアイデアを試してみてください。ご家族みんなで楽しい歯みがきタイムを経験してくださいね。
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