赤ちゃんの歯みがきデビューの重要性
赤ちゃんの乳歯は、将来生えてくる永久歯の土台となりとても大切です。
乳歯が健康であれば、永久歯の生え方や口腔環境・顎の成長にも良い影響を与えます。
そのため、早い時期から歯みがき習慣を始めることが重要です。
でもはじめての歯みがきには不安や疑問もつきものです。
はじめて赤ちゃんのお口の中を触るお母さんも多いはずです。
「どのタイミングで始めるべきなのか」「赤ちゃんが嫌がったらどうするべきなのか」など、初めての経験で悩む親御さんも多いでしょう。
実際私の勤務している歯科医院に来院するお母さん・お父さんも「なんかこわくて触れない」「まだ虫歯にならないから歯みがきはいらないと思ってました」などたくさん親御さんの本音を聞きます。
この記事では、実際の体験談・歯科衛生士・口育士として患者さんの相談例を交えながら、赤ちゃんの月齢に合わせた歯みがきの始め方と、楽しい習慣作りのコツを詳しく紹介します。
月齢別の歯みがきの始め方
生後4〜6か月:歯みがきへの興味を育てる時期
まだ歯が生えていない赤ちゃんも多い時期ですが、この頃から歯みがきに慣れる準備を始めると良いでしょう。
方法
- シリコン製のやわらかいお口ケアグッズや歯みがきおもちゃで遊ばせ、口の中に物が入る感覚に慣れさせていきましょう。
- きれいに洗ったお母さんの指をちょんちょんと口唇を触ってそのあと指をお口の中に入れて頬の内側をマッサージするように触ってあげましょう。
- 機嫌のいい日中にお口を触ると最初が嫌がらずにスムーズです。
- 授乳後は、飲んだミルクが出てくることがあるので、控えましょう。
- 歯ぐきを指で軽くマッサージしたり、舌を軽く触れて刺激を与えるのも大切です。
- ケアを楽しむ雰囲気を作ります。
実際の体験談
私は自分の子にはこの時期、歯ブラシを見せるだけで口の中に入れないところからスタートしました。最初はただ触らせるだけでしたが、次第に口に入れて遊ぶようになりました。このおかげで、歯ブラシに対する恐怖心が全くありませんでした。
また自分の歯みがきを見せるのも、いい学習になります。パパにも積極的に赤ちゃんにパパ自身の歯ブラシするところを見せるように伝えてありました。
ポイント
- 最初は短い時間だけ行い、赤ちゃんが楽しいと感じることを優先します。
- 優しい声掛けや笑顔でリラックスした雰囲気を作ることが大切です。
生後7〜8か月:歯が生え始める頃のケア
下の前歯が生えてくる赤ちゃんが増える時期です。乳歯のケアを始めるベストタイミングとも言えます。
離乳食もはじまり唾液の出る量も増え、お口の中の感覚がどんどん発達していく時期でもあります。積極的にお口を触ったり、歯を磨いてあげましょう。
方法
- ガーゼや歯みがき用のシートでお口の中を軽く拭き取ります。
- 歯が少し生え始めてる部位は歯ブラシを使っても大丈夫です。優しくこすってあげましょう。
- 歯ぐきを傷つけないようにしましょう。
- 歯みがきを離乳食後の習慣にするとスムーズです。
実際の体験談
私の子どもに初めて歯が生えたとき、最初は歯科衛生士の私でも歯かどうかわかりませんでした。最初は恐る恐るケアを始めましたが、離乳食後に軽く拭いてあげるうちに、赤ちゃんも気持ちよさそうに笑顔を見せるようになりました。
第2子以降の私の子どもには、むしろ積極的にお口の中を触るようにしました。
やはり知っている・経験したことあるというのは強みになります。
ポイント
- 赤ちゃんがリラックスしている時を見計らって行います。
- 歯が生える痛みがある場合は無理せず、赤ちゃんのペースに合わせて進めましょう。
- ケアが終わったあとは、ママがにっこり笑って「さっぱりして気持ちいいね!」と歯みがきは嫌じゃないということを刷り込んでいきます。笑
生後9〜12か月:歯ブラシを使った本格ケアの開始
物を自分で持てるようになる赤ちゃんも多く、歯ブラシへの興味が強くなる時期です。
歯の本数も増えてきて、汚れをとる本来の歯ブラシの目的をスタートしていきます。
離乳食も後期となり、食べられる食材や味付けなど色々な食事がとれるようになります。
方法
- 赤ちゃん用の小さな歯ブラシを使い、柔らかい毛先で乳歯を優しく磨きます。
- 自分で持たせたり、親が仕上げ磨きをしたりします。
- 親が磨く用の歯ブラシと赤ちゃんが持つ遊び磨き用を分けるといいですね。
実際の体験談
赤ちゃんが好きな色やキャラクターの歯ブラシを選びます。これにより興味を引き、口の中に入れるのも自然に受け入れやすくなります。
赤ちゃんが遊びみがきの歯ブラシを取り上げずに、親が仕上げ磨き用に別のコンパクトでナイロンの毛が生えている歯ブラシで磨きます。
仕上げ磨きの際には「キレイになったね!」と声をかけて楽しい時間にします。
ポイント
- 赤ちゃんに手鏡を持たせたり、鏡の前に立ち、歯みがきがどんなことをしているかみせてあげ、不安をとってあげて「楽しい時間」にする工夫を取り入れると良いです。
- 1日1回は寝転がって、上の歯・下の歯を1本ずつ丁寧に磨きましょう。
- 赤ちゃんのペースに合わせて徐々にステップアップしましょう。
- 歯ブラシを使っている時は赤ちゃんから目を離さないでくださいね。寝返りができたりして、のどの奥に歯ブラシがささってしまうような事故は絶対に起こしたくないです。
1歳以降:歯みがき習慣の定着と虫歯予防
乳歯がさらに増え、奥歯も生えてくるこの時期は、歯みがき習慣の定着を図るタイミングです。
また離乳食も完了期となり、歯にくっつきやすい食材も多くなります。少しづつ虫歯のリスクも出てきます。
心の発達も著しくなってくるころです。自分でやりたい!ママの歯みがきは嫌だ!などの感情表現もできるようになってきます。
方法
- 仕上げ磨きをしっかり行い、磨き残しを防ぎます。
- 歯ブラシを持っていない手の指で唇や頬をどかして、歯の根元から磨きましょう。
- 歯並びによっては、子供用のデンタルフロスを使いましょう。
- 定期的に歯科検診を受けて、虫歯予防のチェックをします。
- うがいの練習も意識してみましょう。
実際の体験談
歯みがきを嫌がったり、楽しそうにしたり色々ありますが、毎晩必ずブラシをかけるというルーティンは守りました。
ご褒美にシールをあげたり、「ピカピカになったね!」と褒めたりすることで、赤ちゃん自身が楽しみながら続ける習慣が身につきました。
ポイント
- 歯みがき後に絵本を読むなど、楽しみなイベントを用意することでモチベーションを上げます。
- 甘いお菓子やジュースの摂取を控え、健康的な飲食を心がけましょう。
歯みがきに困ったときの対策法
赤ちゃんが嫌がる場合には、柔軟な対応が必要です。
解決策
- 「虫歯ばいきんバイバイゲーム」のようなストーリー性を持たせて、歯みがきを楽しいアクティビティにする。
- 短時間だけ行い、少しずつ慣らしていく。
- 上の歯をしっかりみがくタイミング、下の歯を磨くタイミングなど短時間で済む工夫をしましょう。
- 好きな音楽や動画を見せるなど、気を逸らす工夫をする。
- まずは歯をみがくお母さんの顔が笑顔で優しい声掛けですすめていきます。
- 泣いて嫌がっても、歯ブラシを口に入れて歯みがきらしきことはするようにしましょう。赤ちゃんはとても賢いです。泣いて歯みがきをやらない日があると、泣けばやらなくていいんだと学習します。泣いても、赤ちゃんの習慣のため、虫歯予防のため続けていきましょうね。
実際の体験談
泣いて嫌がる時期もありましたが、好きな歌を私が歌いながら歯みがきをしたら笑顔に変わりました。徐々に「歯みがき=楽しい時間」と認識してくれるようになりました。
専門家からのアドバイス
歯みがき習慣を無理なく始めるためには、専門家の意見を取り入れることも重要です。
- 頻度: 夜寝る前の1日1回は最低限行うのが理想です。
- 道具: 毛先が柔らかい赤ちゃん用歯ブラシを選びましょう。
- 予防策: おやつは糖分控えめのものを選び、食事後は水で口をさっぱりさせてあげましょう。
歯みがきデビューを楽しい時間にするコツ
- 歌やリズムを取り入れる: 歯みがきソングを歌ったり、リズムに乗せて進めることで楽しさが増します。
- 終わった後のお楽しみを伝える:これ終わったら楽しい本を読もう!これ終わったらお布団でこちょこちょしようなど普段お子さんが好きな行動を想像させてみましょう。
- ご褒美を活用する: 簡単な褒め言葉やシールなど、小さなご褒美が効果的です。
- 親も一緒に楽しむ: 親が楽しそうに歯みがきをする姿を見せることで、赤ちゃんも自然と興味を持ちます。
- 兄弟に協力してもらう:ベルトコンベアのように上のお子さんを赤ちゃんの横に寝かせて歯みがきを楽しそうにほめながら歯みがきをみせてあげます。そして少しじらしてなかなか赤ちゃんを歯みがきしないであげると、次やってーやってーと心理戦で歯みがきを楽しんでくださいね!
お願い
パパが磨くこともあると思います。間違っても「歯みがきしないとママが怒るよ!」
「歯みがきしないと鬼がくるよ!」なんて言葉は禁物です。日頃ママがどんな思いで歯磨きをしてくれているか、お子さんの歯のため、虫歯予防のため、子どもの笑顔のためにママは日々頑張ってくれていることをお忘れなく!!ママはわるものではありません。
赤ちゃんの機嫌や体調、お母さんの時間や気持ちの余裕など、さまざまな環境での歯みがきがあると思います。
昨日嫌がったから今日も嫌がると思わずに、楽しい歯みがき時間になることを信じて、温かい時間を作ってくださいね。
まずはお母さんが笑顔で歯を磨くことが、赤ちゃんの不安な気持ちをなくしてくれます。
赤ちゃんはお母さんの笑顔が大好きです!!
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