- はじめに
- 食べるのが遅い…その背景には何がある?
- 主な原因とその特徴
- 1. 口腔機能の未発達・噛み合わせの問題
- 2. 食事に集中できない環境
- 3. 心理的な要因・プレッシャー
- 4. 発達特性や個性
- 5. お腹が空いていない・食事量が多い
- 6. 箸やスプーンがうまく使えない
- 7. 体調や気分の変化
- 私の現場体験談:食べるのが遅い子どもたち
- ケース1:咀嚼回数が多すぎて1時間以上かかる小学生
- 【対応】
- ケース2:おしゃべり好きな女の子の給食対策
- 【対応】
- ケース3:食事への執着が薄い子への工夫
- 【対応】
- 原因別アプローチと家庭でできる具体策
- 口腔機能・噛み合わせの未発達への対策
- 食事環境の見直し
- 心理的な負担を減らす声かけ術
- 発達特性や個性に合わせた工夫
- 「食べない状態が続いたら片付けてOK」ルール
- 食べるのが遅い子どもの“いいところ”も見つけよう
- よく噛む・味わう・マナーが良い
- 焦らず見守ることの大切さ
- まとめ:子どもの「食べるのが遅い」に寄り添うために
はじめに
「うちの子、どうしてこんなに食べるのが遅いの?」
「給食の時間が終わってもまだ食べている…」
日々の食卓や保育・学校現場で、こうした悩みを抱える保護者や先生は少なくありません。
歯科衛生士・口育士として、私自身も多くのご家庭から同じ相談を受けてきました。
食べるのが遅い子どもには、実はさまざまな背景や個性が隠れています。
本記事では、実際の体験談や現場での工夫を交えながら、「食べるのが遅い」原因を多角的に分析し、今日からできる具体的なアプローチや声かけ術を徹底解説します。
食べるのが遅い…その背景には何がある?
主な原因とその特徴
1. 口腔機能の未発達・噛み合わせの問題
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成長段階では噛む力や噛み合わせがまだ十分でない場合が多く、食べ物を細かくするのに時間がかかります。
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奥歯をうまく使えていない、舌や唇の動きがぎこちない、歯の痛みや違和感があるなど、口の中の問題が背景にあることも。
2. 食事に集中できない環境
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テレビやおもちゃ、会話など、気が散る要素が多いと食事に集中できず、ダラダラと時間がかかる傾向があります。
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給食の場合は、周囲の騒がしさや友だちとのおしゃべりも影響します。
3. 心理的な要因・プレッシャー
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「残さず食べなければ」「時間内に食べなければ」というプレッシャーが、かえって食べるペースを落とすことも。
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嫌いな食べ物や苦手な食材があると、手が止まりがちです。
4. 発達特性や個性
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発達の特性で、食事に集中しにくい、ペース配分が苦手というケースも。
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もちろん、定型発達でも「よく噛んで味わいたい」「マイペースで食べたい」という個性の現れもあります。
5. お腹が空いていない・食事量が多い
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食事の直前におやつを食べていたり、食事量が多すぎると、食べる速度が落ちます。
6. 箸やスプーンがうまく使えない
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特に小学校低学年では、箸の使い方が未熟で、食べ物をうまく口に運べないことがあります。
7. 体調や気分の変化
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口内炎や歯の生え変わり、体調不良、悩みごとなども食事のペースに影響します。
私の現場体験談:食べるのが遅い子どもたち
ケース1:咀嚼回数が多すぎて1時間以上かかる小学生
ある男の子は、1食にかける咀嚼回数が平均の5倍以上。
「噛まずに飲み込むと胃腸に負担がかかる」と思い込み、1口ごとに100回以上噛んでいました。
夕食が終わるまで1時間以上かかることもあり、ご家族も困惑していました。
【対応】
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咀嚼の大切さは認めつつ、「噛みすぎも体に負担がかかることがある」と説明。
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30回程度を目安に「今日は何回噛めたかな?」と一緒に数えてみる遊び感覚の声かけを実施。
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「噛みすぎなくても大丈夫だよ」と安心感を伝えることで、徐々に食事時間が短縮しました。
ケース2:おしゃべり好きな女の子の給食対策
保育園の現場で、食事中におしゃべりが止まらず、給食が終わらない女の子がいました。
「みんなが食べ終わるまでに食べてね」と言っても効果なし。
【対応】
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食事中は「おしゃべりタイム」と「食べるタイム」を分けてみることを提案。
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「○分だけは食べることに集中しようね」とタイマーを使い、ゲーム感覚で取り組みました。
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「全部食べられたら、みんなでお話ししよう!」と声かけしたところ、達成感につながり、徐々に食事時間が短縮。
ケース3:食事への執着が薄い子への工夫
年長のお子さんが、夕食に2時間かかるとのご相談。
軟らかいお菓子はすぐ食べるのに、食事には興味が薄い様子。
【対応】
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食事をワンプレートにして見た目を楽しく、お子様ランチ風に。
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食卓を「楽しい雰囲気」にし、会話を増やすことで食事自体への興味を引き出しました。
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「決められた時間で食べ終わったらご褒美」などの声かけは効果が薄かったものの、成長とともに自然と早く食べられるようになりました。
原因別アプローチと家庭でできる具体策
口腔機能・噛み合わせの未発達への対策
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歯科医院で定期的なチェックを受け、噛み合わせや虫歯の有無を確認。
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奥歯や舌の使い方が未熟な場合は、歯科衛生士による口腔機能訓練も有効。
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家庭では「よく噛んで食べてね」と優しく声かけし、親がお手本を見せる。
食事環境の見直し
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テレビやおもちゃを片付け、食事に集中できる環境を整える。
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食事量を無理なく食べきれる量に調整し、「全部食べられた!」という小さな成功体験を積み重ねる。
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ワンプレートやお子様ランチ風の盛り付けで、見た目の楽しさをプラス。
心理的な負担を減らす声かけ術
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「早く食べて」「残さないで」などの急かす声かけは逆効果。
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「今日は○分で食べ終わったね!」「この後○○が待ってるよ」と前向きな声かけを意識。
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食事を「リラックスできる、楽しめる場」にすることを最優先に。
発達特性や個性に合わせた工夫
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発達や個性による場合は、「食べること自体を楽しむ」ことを重視し、無理にペースを合わせさせない。
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箸やスプーンの使い方が苦手な場合は、練習をサポートしつつ、無理なくフォークなども活用。
「食べない状態が続いたら片付けてOK」ルール
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3分以上食べない状態が続いたら、一度食事を片付けるのも一つの方法。
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「食べなければ」というストレスを減らし、時間内に食べる意識を育てる工夫です。
食べるのが遅い子どもの“いいところ”も見つけよう
よく噛む・味わう・マナーが良い
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「よく噛んでいる」「味わって食べている」ことは、消化や満腹感の面でもメリットがあります。
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ゆっくり食べることで、食事のマナーや食材への興味が育つことも。
焦らず見守ることの大切さ
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成長とともに食事のスピードが変化することも多いので、焦らず見守る姿勢も大切です。
まとめ:子どもの「食べるのが遅い」に寄り添うために
食べるのが遅い子どもには、口腔機能の発達、心理的な要因、個性や発達特性など、さまざまな背景が隠れています。
急かすのではなく、まずは「なぜ遅いのか」を一緒に考え、家庭や園・学校でできる工夫を少しずつ取り入れてみてください。
私自身、歯科衛生士・口育士として多くのご家庭と関わる中で、「食べることを楽しむ」ことが何よりも大切だと実感しています。
今日からできる小さな工夫や前向きな声かけで、お子さまの食事時間が少しでも楽しく、健やかなものになりますように。
【体験談・独自コンテンツを多く盛り込み、専門家視点で執筆しています】
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