離乳食期の「噛む力」育成が一生を左右する理由
赤ちゃんの離乳食期は、単に母乳やミルク以外の食べ物に慣れるだけでなく、噛む力や飲み込む力を育てる人生で最初の大切なステップです。
我が家の3人の子ども達も食べない時期・好き嫌いの時期・自分で食べたい時期・3人3様でした。私自身も初めての子育てで、離乳食の進め方に悩みながらも「噛む力」をどう育てるかにこだわりました。その経験から、噛む力を鍛えることが将来の歯並びや味覚、脳の発達、さらには健康的な食習慣にも直結することを実感しています。
離乳食期の発達段階と食材・調理の基本
離乳食をはじめる赤ちゃんのサインを確認しましょう
・首が座っている
・ミルクや母乳をしっかり飲んで、お腹いっぱいになるまで一気に飲む。十分な間隔が空いたら次の授乳になること
・食事に興味を持ち、親の食事に手を出したり、よだれが垂らしたりと食べたそうにしていること
身体の準備が整わないと、消化することもできません。このサインがクリアしたら離乳食初期からはじめましょう。
離乳食期の4ステップと食材の硬さ・形状
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初期(5〜6ヶ月)
水分多めのドロドロ状(10倍がゆ、すりつぶし野菜など)。まずは飲み込む練習から。 -
中期(7〜8ヶ月)
舌と上あごで潰せる柔らかさ(5倍がゆ、やわらかく煮てつぶした野菜や豆腐)。モグモグ期とも呼ばれ、舌の上下運動が発達します。 -
後期(9〜11ヶ月)
バナナくらいの柔らかさで刻む。歯茎で押しつぶす練習が始まり、掴み食べ(手づかみ食べ)も積極的に。唾液とよく混ざるよう舌は左右にも動きます。 -
完了期(1歳〜1歳半)
歯茎で噛める硬さ。後期より大きめに刻み、歯で噛み砕く練習へ。食べたものが飲み込める硬さになったか舌で確認でき、かたまりにしてのどの奥に押しやる動きをします。
この段階ごとの食材の硬さや形状を、赤ちゃんの発達や反応を見ながら調整することが大切です。
噛む力を育てる食材選びと調理法
噛む力アップにおすすめの食材
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根菜類(にんじん、大根、さつまいもなど)
薄い輪切りやスティック状にして、やわらかく煮るとほどよい噛みごたえに。 -
豆類(大豆、ひよこ豆など)
煮豆は適度な硬さで噛む練習にぴったり。栄養価も高く、成長期の赤ちゃんに最適。 -
やわらかい果物(バナナ、いちごなど)
最初はつぶして、慣れてきたらスティック状にして手づかみ食べにも。 -
パンやトースト
軽く焼くと噛みごたえが増し、前歯でかじりとる練習に。 -
赤身の肉・魚、納豆、小松菜、ひじき
鉄分補給にも役立ち、後期以降のメニューにおすすめ。
調理のコツ
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硬さの調整
フォークや指で簡単につぶせる程度からスタートし、徐々に硬めにしていく。ご飯も少し硬めに炊くと噛む練習になります。 -
大きさの工夫
細かく刻みすぎると噛まずに丸のみしやすいので、食べやすい大きさで、噛まないと飲み込めないサイズに調整。 -
手づかみ食べの導入
スティック状や輪切りに切った野菜や果物は、手づかみ食べに最適。赤ちゃん自身が口に運ぶことで噛む力や食事の楽しみ、食具の動かし方が自然と育ちます。 -
味付けは薄味で
赤ちゃんの消化器官は未熟なので、基本は素材の味を活かした薄味に。
噛む力を育てるための実践的な工夫と体験談
丸のみ対策のリアル体験
離乳食中期には、体重の増え方、便の様子など見ながら、食材を少し大きめに切ったり、ご飯を硬めに炊いたり、野菜は茹で時間を短くしてみました。すると、噛まないと飲み込めなくなり、次第にモグモグするように。
我が家の長男は丸飲みをする時期がありました。保育園の先生に声掛けやお手本をみせてあげると噛むようになってきますよ。と教えてくれました。「カミカミしようね」と声かけをしたり、大人が一緒に噛む真似を見せると、子どもも真似をして噛む回数が増えました。焦らず見守ることも大切で、他の子と比べて進みが遅くても、子どものペースに合わせて調整しましょう。
手づかみ食べで噛む力がアップ
我が家の3人の子ども達も手づかみ食べを始めた頃は、食べ物を投げたり、ぐちゃぐちゃにされてイライラすることも。しかし、目で見て手で掴み、口に運ぶことで、食材の硬さや大きさ、温度を自分で感じながら「ひと口の量」や「噛む力の加減」を覚えていく姿に成長を感じました。これも彼らの食事の発達の一部なんだと思えた時、イライラすることもなくなりました。
最初はバナナやにんじんスティック、握りやすいさつまいもの輪切りの蒸したものなどやわらかいものからスタート。子ども達はどの食材も興味を持ち、もぐもぐよく食べていました。
慣れてきたら、豆腐ハンバーグや野菜入りおやきなど、手で掴みやすいメニューに挑戦。毎日少しずつバリエーションを増やしました。
忙しいママのアイデア
私自身も歯科医院で仕事をしながら、3人の子育てをして離乳食を作っている時間はありませんでした。離乳食も大事なステップだと保育園の先生に教えてもらったので、休みの日にまとめて作って冷凍していました。平日は帰ってきたら解凍してそのまま手づかみ食べで食べている間にメインのおかずを作っていることもありました。
せっかく作ってもなかなか食べてくれない時は仕事の疲れもあり、イライラしてしまうこともありましたが、食べない時はだらだらせずに食事タイムを切り上げて、先にお風呂に入って気分転換などしてからまたごはんタイムにしたこともありました。
食事に集中してもらいたかったので、テレビを消したり、食卓の目に入るところのおもちゃはかたずけてから食事を始めるようにしていました。
噛む力を育てるために親ができること
声かけとお手本
赤ちゃんは大人の真似が大好き。「カミカミしようね」「もぐもぐだよ」と声をかけたり、大人も一緒に食事をして噛む姿を見せることで、自然と噛む習慣が身につきます。
食べるスピードを合わせる
赤ちゃんの口の中が空になる前に次の一口を与えると、急いで丸のみしてしまうことも。次男の時にごっくんと飲み込む前にスプーンを口に当ててしまったことがありました。次男も急いで口を開けてくれました。その顔をみて、親のペースで食事をさせてしまっているなと、ハッとしたのを覚えています。子どもの噛むペースに合わせて食事を進めてあげましょう。
赤ちゃんの個性を尊重
離乳食の進み具合や噛む力の発達には個人差があります。他の子と比べず、わが子の様子をよく観察しながら調整することが大切です。
まとめ:離乳食期の「噛む力」は一生の財産
離乳食期は、噛む力を育てる絶好のチャンス。食材の選び方や調理法、手づかみ食べの導入、声かけやお手本を通じて、赤ちゃんの「噛む力」をぐんぐん伸ばしましょう。私自身、試行錯誤の連続でしたが、子どもの成長を実感できる貴重な時間でした。
焦らず、楽しみながら、親子で「食べる力」を育てていきましょう!
※本記事は体験談を交えつつ、管理栄養士や歯科医監修の最新知見を参考にしています。赤ちゃんの発達や体調に不安がある場合は、かかりつけ医や専門家にご相談ください。
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